データーチェック
桜花賞連対馬で1番人気に推された信頼度は75% 重賞で連対またはオープン特別で勝利
桜花賞馬の取拾がポイント 桜花賞組が断然優先
重賞勝ち馬の巻き返しに注意 桜花賞上位馬を信頼
穴なら血統的に距離不安で嫌われているような馬
脚質・・・差し・追い込み
馬場が渋った馬場はスタミナ血統の先行馬にも注意 桜花賞で上がり600mのタイムが3位以内


2020年5月24日(日曜) 2回東京10日第81回 優駿牝馬
《レース結果》
1 17 アパパネ 牝3 55.0 蛯名正義 2:29.9   35.2 470 -10 国枝栄 1
1 18 サンテミリオン 牝3 55.0 横山典弘 2:29.9 同着 35.3 460 +6 古賀慎明 5
3 2 アグネスワルツ 牝3 55.0 柴田善臣 2:30.2 2 36.1 456 -4 宮本博 8
4 13 アニメイトバイオ 牝3 55.0 後藤浩輝 2:30.4 1 1/4 35.4 464 +14 牧光二 11
5 6 オウケンサクラ 牝3 55.0 安藤勝己 2:30.4 クビ 35.6 490 +4 音無秀孝 3

《レース内容》
松山騎乗で単勝1・6倍の断然人気に推されたデアリングタクトが、直線で鮮やかに抜け出して
快勝。通算成績を4戦4勝とし、1957年ミスオンワード以来2頭目となる無敗での
牝馬クラシック2冠を達成した。2着は7番人気のウインマリリン、
3着には13番人気のウインマイティーが入った。
静寂に包まれたウイニングランで、勝利をかみしめた。デアリングタクトが桜花賞に続く完勝。
松山騎手が、無人のスタンドを前に小さくガッツポーズをつくった。
「僕自身、(GIで)初めての1番人気。多くの人の期待に応えたいと思っていました。ホッとしました」
4番枠から好スタートを決めたが、最初のコーナーで外の馬に押され、
ポジションを下げざるを得なかった。直線でも外に持ち出すことができず、
中に切り替えるロス。それでも前があいてから、目の覚める豪脚を繰り出して差し切った。
「1〜2コーナーで狭くなったり、ぶつかったりしましたが、あそこで突っ張るより、
ひとつ下げて脚をためることに専念しました。馬の力に助けられましたね」と鞍上は相棒に感謝だ。
1957年のミスオンワード以来、63年ぶりとなる
無敗での牝馬2冠。陣営にとって、一度はあきらめかけた夢だった。
前走、重馬場の桜花賞(4月12日)を直線一気で快勝。
その疲れで、デアリングはゲッソリとやせてしまった。
15日に栗東近くへ放牧。その後、オークスに加えて日本ダービーにも登録する話が浮上したが、
これも回復までの日数を“1週間でも多く稼ぐ”ため。杉山晴調教師は「トレセンに戻すけど、
オークスはたぶん使いませんよ」と打ち明けるほど、一度は覚悟を決めた。
しかし、月末に帰厩した後はカイバ食いが戻り、馬体も回復。またがった松山騎手が「乗り味が変わった」と
驚くほどの変わり身を見せ、無傷で2冠達成。トレーナーは「自分の手元を離れましたね。
ファンの、みんなの馬になりました」と目尻を下げた。
今後については「まずは疲れを取って、3冠目に向けてどう立ち上げていくか、オーナーと相談です」と
秋華賞(10月18日、京都、GI、芝2000メートル)で史上初となる無敗での牝馬3冠を目指すと宣言。
松山騎手も「秋にはさらに楽しみが増えますし、さらに注目される。それに応えていきたいし、
自分がそこにいられるように精進していきたい」と結んだ。
大胆な末脚を武器に、歴史的名牝への階段を駆け上がっていく。
2019年5月19日(日曜) 2回東京10日第80回 優駿牝馬
《レース結果》
1 枠7橙 13 ラヴズオンリーユー 牝3 55.0 M.デムーロ 2:22.8
2 枠5黄 10 カレンブーケドール 牝3 55.0 津村 明秀 2:22.8 クビ
3 枠1白 2 クロノジェネシス 牝3 55.0 北村 友一 2:23.2 2 1/2
4 枠6緑 12 ウィクトーリア 牝3 55.0 戸崎 圭太 2:23.3 クビ
5 枠4青 8 ダノンファンタジー 牝3 55.0 川田 将雅 2:23.3 アタマ

《レース内容》
1番人気のラヴズオンリーユーが中団待機から差し切り、無傷の4連勝でGI初制覇。
手綱を取ったM・デムーロ騎手は、史上10人目のクラシック完全制覇を達成した。
2着に12番人気のカレンブーケドール、3着には2番人気のクロノジェネシス。
令和初のクラシックで、名馬誕生の予感だ。3戦全勝のラヴズオンリーユーが豪脚を発揮し、
2006年カワカミプリンセス以来、13年ぶり5頭目の無敗、
同馬と並ぶ最少キャリア4戦目で樫の女王に君臨した。
「スタートはうまくいったが、道中で他の馬がフラフラして位置が下がって…。
それでも、直線は素晴らしい瞬発力。すごく強かった」
M・デムーロ騎手が能力を絶賛する。向こう正面まで中団前めを追走したが、
その後は他馬に外から張られた。4コーナーでは「届かないと思った」が、直線を向くとエンジン点火。
「初めて本気を出して」馬場の真ん中を鋭く伸び、先に抜け出したカレンブーケドールをクビ差とらえた。
勝ちタイム2分22秒8は、12年ジェンティルドンナの記録を0秒8上回るレースレコードだった。
鞍上にとっては、NHKマイルC(アドマイヤマーズ)に続く今年のGI2勝目で、
史上10人目のクラシック完全制覇。「すごいこと! 半端ない!」と笑顔。
オーナーのDMMドリームクラブにとってはGI初Vとなり、
検量室前ではたたえるように両手で勝負服を指差した。
「声が出ました。馬に感謝しかない。すごい馬と改めて思いました」
頬を緩めた矢作調教師だが、道のりは険しかった。2歳時に2勝も、休養中にフレグモーネを発症し
「春は駄目だと思った」。何とか整え、忘れな草賞を完調手前でV。ここへ大きく良化はしたが、
輸送翌日に腸内環境に関する数値が一番下がる体質から、初の長距離輸送が鍵だった。
そこで金曜輸送を選択。緻密な調整で前回と同じ456キロで迎えた。
「体の張りを見ても輸送は正解。この会見の場にいられることが夢のよう」と安堵(あんど)の表情だ。
秋は秋華賞が本線となりそうだが、トレーナーは「これだけの切れ味は兄のリアルスティールにはなかった。
世界を舞台に戦いたい」と、ドバイターフを制した厩舎の先輩を引き合いに将来性を語った。
無敗の女王の先には、あふれんばかりの夢が広がっている。 
2018年5月20日(日曜) 2回東京10日11R 第79回 優駿牝馬
《レース結果》
1 枠7橙 13 アーモンドアイ 牝3 55.0 C.ルメール 2:23.8 33.2 466 +4 国枝栄 1
2 枠1白 1 リリーノーブル 牝3 55.0 川田将雅 2:24.1 2 33.9 496 -2 藤岡健一 4
3 枠1白 2 ラッキーライラック 牝3 55.0 石橋脩 2:24.4 1 3/4 33.9 492 +4 松永幹夫 2
4 枠5黄 10 レッドサクヤ 牝3 55.0 福永祐一 2:24.7 1 3/4 33.9 466 0 藤原英昭 11
5 枠2黒 3 マウレア 牝3 55.0 武豊 2:24.8 1/2 34.0 438 -2 手塚貴久 6

《レース内容》
C.ルメール騎手騎乗の1番人気・アーモンドアイ(牝3、美浦・国枝厩舎)が優勝。
勝ちタイムは2:23.8(良)。
2着には2馬身差で4番人気・リリーノーブル(牝3、栗東・藤岡健厩舎)、
3着には1馬身3/4差で2番人気・ラッキーライラック(牝3、栗東・松永幹厩舎)が続いて入線した。
サヤカチャンが押してハナを奪い、向こう正面では後続を大きく離す。
2番手にランドネ、3番手にリリーノーブルが付け、
人気のラッキーライラック、アーモンドアイは好位からレースを進め、馬群は大きな縦長となる。
サヤカチャンが快調に飛ばして直線へ入るが、リードは瞬く間になくなって
リリーノーブルが残り300mで先頭に立つ。
しかし、その外にはもうアーモンドアイが迫って一気に先頭。
リリーノーブルも内で懸命に食らい付くが最後は力尽き、
桜花賞馬アーモンドアイが堂々と牝馬2冠を達成した。
勝ったアーモンドアイは、デビュー2戦目の未勝利戦から4連勝で牝馬2冠を達成。
短距離王だったロードカナロアが父ということで距離を不安視する声もあったが、
それを一蹴する圧勝劇。騎乗したC.ルメール騎手は昨年のソウルスターリングに続く
史上6人目のオークス連覇達成で、39歳のバースデーを大偉業で飾った。
また、母フサイチパンドラは2006年の2着馬で母の無念を晴らす勝利ともなった。
2017年5月21日(日) 2回東京10日11R 第78回 優駿牝馬(GI)
《レース結果》
1 1 2 ソウルスターリング 牝3 55.0 C.ルメール 2:24.1   34.1 474 0 藤沢和雄 1
2 1 1 モズカッチャン 牝3 55.0 和田竜二 2:24.4 1 3/4 34.1 468 0 鮫島一歩 6
3 8 16 アドマイヤミヤビ 牝3 55.0 M.デムーロ 2:24.8 2 1/2 33.9 476 +2 友道康夫 2
4 4 7 ディアドラ 牝3 55.0 岩田康誠 2:24.8 アタマ 33.9 478 +2 橋田満 9
5 7 14 リスグラシュー 牝3 55.0 武豊 2:24.9 3/4 34.2 432 -4 矢作芳人 3


《レース内容》
C.ルメール騎手騎乗の1番人気・ソウルスターリング(牝3、美浦・藤沢和厩舎)が優勝。
勝ちタイムは2:24.1(良)。2着には1馬身3/4差で6番人気・モズカッチャン(牝3、栗東・鮫島厩舎)、
3着には2馬身半差で2番人気・アドマイヤミヤビ(牝3、栗東・友道厩舎)が続いて入線した。
ソウルスターリングは好スタートを決め、隣枠のフローレスマジックを先に行かせて
2番手の絶好位からレースを進めた。好位の内にモズカッチャン、外から桜花賞馬レーヌミノルが続く。
リスグラシューは先行集団を見ながら中団からの競馬。
アドマイヤミヤビ、ディアドラは後方寄りで脚をためた。馬群は一団で進み、
前半1000mの通過は61秒7。4コーナーまで隊列がほとんど変わらないまま直線勝負に入った。
ソウルスターリングは残り400m付近でフローレスマジックをかわして先頭へ。
内からモズカッチャンが追いすがるが、馬場の中央に持ち出すとグングン加速した。
最後はモズカッチャンに1馬身3/4差をつけて快勝。大外から伸びてきたアドマイヤミヤビが3着に入った。
勝ったソウルスターリングは、昨年7月の札幌でデビュー勝ち。
10月のアイビーSでは皐月賞2着のペルシアンナイトを封じて2連勝を飾った。
阪神ジュベナイルFも1番人気に応えて快勝。年明け初戦のチューリップ賞も勝ち、
無傷の4連勝とした。桜花賞でも圧倒的な1番人気に推されながら3着に敗れ初黒星。
オークスではファンの支持に応えた。父は怪物フランケル、母スタセリタは
ルメール騎手とのコンビでフランスのG1を制した経験を持つ世界的な良血馬
社台サラブレッドクラブで総額6000万円で募集された。
2016年5月22日(日) 2回東京10日11R 第77回 優駿牝馬(GI)
《レース結果》
1 2 3 シンハライト 牝3 55.0 池添謙一 2:25.0   33.5 422 -4 石坂正 1
2 7 13 チェッキーノ 牝3 55.0 戸崎圭太 2:25.0 クビ 33.5 462 -2 藤沢和雄 2
3 7 14 ビッシュ 牝3 55.0 M.デムーロ 2:25.1 1/2 34.1 416 +12 鹿戸雄一 5
4 8 16 ジェラシー 牝3 55.0 横山典弘 2:25.3 1 1/2 33.6 476 +6 菊沢隆徳 10
5 3 5 ペプチドサプル 牝3 55.0 四位洋文 2:25.3 ハナ 34.1 448 0 木原一良 8

《レース内容》
5月22日(日)、2回東京10日目11Rで第77回優駿牝馬(G1)(芝2400m)が行なわれ、
池添謙一騎手騎乗の1番人気・シンハライト(牝3、栗東・石坂厩舎)が優勝。勝ちタイムは2:25.0(良)。
2着にはクビ差で2番人気・チェッキーノ(牝3、美浦・藤沢和厩舎)、
3着には半馬身差で5番人気・ビッシュ(牝3、美浦・鹿戸雄厩舎)が続いて入線した。
馬場の真ん中からダンツペンダントが飛び出し、エンジェルフェイス、ゲッカコウ、ロッテンマイヤー、
フロムマイハートが等間隔で先行集団を形成。中団はひと塊となり、その集団の後方に
チェッキーノとシンハライトが並んで追走する。
3コーナーより徐々にペースが上がり、ウインファビラス、ビッシュ、
ペプチドサプルらがポジションを上げて直線へ。
逃げたダンツペンダントに代わって先頭に立ったのはエンジェルフェイス。
しかし、後続も一気に押し寄せ、ラスト200mではビッシュがエンジェルフェイスを交わす。
大外からチェッキーノも勢い良く迫り、ビッシュを飲み込もうとしたところ、
馬群を割ったシンハライトが瞬く間に突き抜けてゴール。
桜花賞2着馬が断然の1番人気に応えて樫の女王に輝いた。
勝ったシンハライトは、きょうだいにリラヴァティ、アダムスピーク、
アダムスブリッジといった活躍馬がいる良血馬。
桜花賞はハナ差で涙を呑んだが、勝ったジュエラー、
1番人気のメジャーエンブレムが不在の中、
池添騎手らしい思い切ったコース取りで一気の差し切りを決め、一族悲願のビッグタイトルを獲得した。
2015年5月24日(日) 2回東京10日11R 第76回 優駿牝馬(GI)
《レース結果》
1 5 10 ミッキークイーン 牝3 55.0 浜中俊 2:25.0   34.0 430 +4 池江泰寿 3
2 7 14 ルージュバック 牝3 55.0 戸崎圭太 2:25.1 3/4 34.5 450 +6 大竹正博 1
3 8 17 クルミナル 牝3 55.0 池添謙一 2:25.2 1/2 34.4 478 -10 須貝尚介 6
4 6 12 アースライズ 牝3 55.0 三浦皇成 2:25.5 2 34.3 444 +6 矢作芳人 13
5 7 13 アンドリエッテ 牝3 55.0 川田将雅 2:25.6 クビ 34.3 438 +6 牧田和弥 7

《レース内容》
ミッキークイーンがルージュバック、クルミナルとの激しい叩き合いを制した。
1000メートル通過が61秒3で最後は決め手勝負になったが、
中身とすれば総合力が問われたレースになった。
ラップのバランスからすれば、スローペースなんでしょうけど、
2分25秒0の決着ですからね。距離に不安のあった馬は苦しかったでしょう。
実際、坂を上がってから伸びが止まった馬が多かった。
ココロノアイ、レッツゴードンキ、キャットコインあたりは鞍上の手応えの割に伸び切れなかった。
今年に限って言えば、距離適性がはっきりと明暗を分けたように思う。
3着クルミナルと4着アースライズとの着差は2馬身ありました。
これがまさに距離適性の差でしょう。最後の直線で坂を上がったところはどの馬もしんどい。
そこからプラスアルファがあるかどうかが勝敗の分かれ目になりました。
そんな中、ミッキークイーンはゴール前できっちりルージュバックを捕らえた。
課題のスタートが決まり、前に目標を置いてレースができるポジションも良かった。
前走(忘れな草賞)で2000メートルを経験していたことも大きかった。
浜中ジョッキーも自信を持って乗ってましたね。有力馬を見ながら落ち着いたレース運びで、
スパートを少し遅らせたのもファインプレーでした。
逆にルージュは先頭に立つのが少し早かったか。ただ、能力は見せたし、
今日は馬もカッカしていなかった。トレセンにはレースの12日前に入って
直前もソフトな調整で臨んだが、その効果はあったと思う。
クラシックで1番人気ですから仕方ないでしょう。
クルミナルも桜花賞2着がダテではなかったことを証明した。
ゲート入りにてこずる面はあったが、最後の叩き合いにしっかり加わってきた。
桜花賞でも後ろから伸びが目立ったのは、この馬だけでしたから。
案外だったのはクイーンズリング。予想的には勝ったミッキーの相手筆頭として注目していたが、
前半から位置取りが悪くて見せ場がなかった。
レッツゴードンキは前半から折り合いを欠いていました。
超スローの桜花賞で一気に後続を突き放すくらいですから、
やっぱりスピードタイプ。今回は距離が長かったということでしょう。
着差が示す通りで、今回は上位3頭の力が一枚上だった。
今後はこの3頭がこの世代の牝馬戦線を引っ張っていくことになるだろう。
ウオッカやブエナビスタ級とまではいきませんが、
上位3頭は古馬や牡馬相手でも互角にやっていける馬に成長する可能性があります。
2014年5月25日(日) 2回東京10日11R 第75回 優駿牝馬(GI)
《レース結果》
1 5 9 ヌーヴォレコルト 牝3 55.0 岩田康誠 2:25.8   34.2 444 +6 斎藤誠 2
2 5 10 ハープスター 牝3 55.0 川田将雅 2:25.8 クビ 33.6 474 -4 松田博資 1
3 3 5 バウンスシャッセ 牝3 55.0 北村宏司 2:25.9 クビ 34.4 514 -4 藤沢和雄 3
4 7 13 ニシノアカツキ 牝3 55.0 勝浦正樹 2:26.0 3/4 34.0 450 +2 武藤善則 17
5 7 14 ブランネージュ 牝3 55.0 秋山真一郎 2:26.4 2 1/2 35.1 462 +4 藤岡健一 7

《レース内容》
チューリップ賞が0.4秒差、桜花賞が0.1秒差。勝ったヌーヴィレコルトはレッドリヴェールが
いなければハープスターに最も近い存在でしたけど大一番で逆転した。
競馬が下手なハープに対して、うまく乗った分の差。勝ち馬は2連勝後に
休養を挟んで3戦目。教科書通りの理想的なローテでしたし、レース運びにも隙がなかった。
岩田の騎乗も神がかり的。それに今回は地の利もあった。中間しっかり攻められたのも大きかった。
ちょうど同じ位置にいたバウンスシャッセが直線でモタついたのに対して
こちらはゴチャつかず坂上で抜け出しました。ジョッキーがビッグレースに慣れていたし、
距離適正でもハープスターを一歩上回った。敗れたハープスターの破壊力はもちろん
素晴らしいけど、もろ刃の剣でもある。自分からレースを作れないのだから、
直線は外が意外と伸びない馬場でもあった。レース巧者ではないので道中は
下げて外に出せば勝てる、そんな形でしたけど相手も真剣に走っているわけですから
どうしてもロスはあります。クビ差負けだから実質は勝ちに等しいし、
走破時計もブエナビスタの時より0.3秒速く、上がりは同じ33秒6.
中身としては同等のレベルを見せた。でもゴ−ル前の脚色は勝ち馬と同じに見えました。
レースの中身は悲観する必要はありませんが、抜けて強いわけでもない。
18頭立てで同じ大外を突くのでも、4角からというのは利口な戦法ではありません。
川田騎手はこの日が2鞍目の騎乗で芝コンディションはつかんでいたんでしょうか?
昔のベテラン騎手ならみんなやることをおろそかにしてしまった感じがします。
負けて強しの内容だったけど、距離も弱点だった。ヌーヴォレコルトとバウンスシャッセには
良かったですが、ハープスターは体形が丸く距離は長くない方が良い。
みんなが分かっていたことが現実になりました。凱旋門賞が向くタイプでは全然ありません。
バウンスシャッセも最後は勝ち馬に一歩届かずでハープにも差されたけど、
現状の力は出し切った。サングレアルはマイナス14キロで祭りは終わった感じだった。
前回でギリギリと思ったのですが、今日は細くても小さくは見えませんでした。
だから先はすごくある馬だと思います。マジックタイムは勝ちに行く競馬をして
最後はばったり。もう少し抵抗しても良さそうだけど、思ったほどスタミナがありませんでした。
フォーエバーモアも同様の感じでした。いずれにせよ上位3頭の競馬。
オークスとしてはいいレース内容だった。ハープスターにしても考えられる負け方でした。
3強に加えてダービーに騎乗するレッドリヴェールですね、中身は濃かったと思いますが、
ハープには少しかわいそうな競馬でした。
2013年5月19日(日) 2回東京10日11R 第74回 優駿牝馬(GI)
《レース結果》
1 3 メイショウマンボ 牝3 55.0 武幸四郎 2:25.2   34.6 478 +10 飯田明弘 9
2 13 エバーブロッサム 牝3 55.0 戸崎圭太 2:25.4 1 1/4 34.6 460 -6 堀宣行 5
3 5 デニムアンドルビー 牝3 55.0 内田博幸 2:25.7 2 34.7 432 0 角居勝彦 1
4 4 アユサン 牝3 55.0 丸山元気 2:25.9 1 1/4 35.1 486 +2 手塚貴久 3
5 12 フロアクラフト 牝3 55.0 松山弘平 2:26.2 1 3/4 36.0 480 +4 西園正都 17

《レース内容》
9番人気のメイショウマンボが鮮やかに混戦を制した。
それにしても、幸四郎騎手はうまく乗った。
位置取りといい、コ−ス取りといい、お手本になるような騎乗だった。
前走の桜花賞は馬群の外を気持ち良く行き過ぎて凡走してしまいました。
今回は高速馬場で外を回って差し届く馬場じゃない。
インで脚をためたのは、そのあたりを踏まえた作戦だったでしょう。
もちろん3番枠というのも味方しました。
ビシビシ追ってプラス10キロ。馬も良くなっていたし、
5ハロン通過が59秒6と厳しい流れになったのもこの馬にも良かった。
最後は切れというよりも、スタミナと地力で勝利をもぎ取った感じ。
そういう流れだったからこそ2〜4着のディープインパクト産駒を抑えることができたのだろう。
2.3着はフローラSの1.2着が入れ替わる形で入りました。
エバーブロッサムは前回の内容からデニムアンドルビーと差はないと思っていましたが、
勝ち馬の外につけてうまく流れに乗れましたね。
逆にデニムはテンから行き脚がつかず、前半離され過ぎた。
4コーナーで何とかエバーの2.3馬身後ろまで取り付いたけど
そこまでに脚を使った分伸び切れなかった。
そのあたりは自分でレースをつくれない弱みでしょう。
前走はラップが落ちたところで無理なく上がっていけましたが、
今回の流れではそうはいかない。
現時点では展開に注目がつくタイプということでしょう。
アユサンも1.2着馬と同じような位置にいたんだが、最後は離されてしまった。
丸山がそつなく乗ったことを考えると、桜花賞時に指摘した通り、距離が長かった。
体型や血統から、この馬はマイラーでしょう。
レッドオーヴァルはブービー、まったく見せ場がなかった。
レース前からカリカリしていたし、馬体も8キロ減、そういう気性や体型から
こちらも本質的にはマイラーだろう。
ペースを作ったクロフネサプライズもパドックからテンションが高かった。
注文通りハナを切ったとはいえ、結局息を入れることができませんでした。
6ハロン目も11秒台のラップを刻んでいます。
キャリアの浅いサクラプレジールもこの流れに乗ってしまっては流石に苦しかった。
ただ、馬っぷりや返し馬の動きは、このメンバーでも目立った。
今後も注目の好素材であることに変わりはない。
振り返ってみると今年の有力馬は繊細なタイプが多かった。
勝ったマンボは牝系も含めてタフ、うまく調整できたかどうかも明暗を分けた。
2012年5月20日(日) 2回東京10日       11R 第73回 優駿牝馬(GI)
《レース結果》
1 14 ジェンティルドンナ 牝3 55.0 川田将雅 2:23.6   34.2 460 +4 石坂正 3
2 9 ヴィルシーナ 牝3 55.0 内田博幸 2:24.4 5 35.3 432 -2 友道康夫 2
3 3 アイスフォーリス 牝3 55.0 松岡正海 2:24.5 3/4 35.6 458 0 相沢郁 9
4 1 アイムユアーズ 牝3 55.0 C.ウィリアムズ 2:24.5 ハナ 35.9 444 -6 手塚貴久 4
5 15 サンキューアスク 牝3 55.0 北村宏司 2:24.7 1 35.5 480 -4 伊藤正徳 17

《レース回顧》
戦前からある程度のハイペースは予測できた、ただし5ハロン通過59秒1は想定外
いくら高速馬場といっても速すぎる。結果として07年ローブデコルテの記録を
1秒7も更新する2分23秒6のレースレコード。
今後反動が出るのではないかと心配になるほどの時計です。

数字だけ見ればダービーレベル、その破格の時計で押し切ったうえ
2着に5馬身差を付けたのだからジェンティルドンナはまさに2冠馬にふさわしい2冠馬だ。
今回の結果を受ければ3番人気というのは・・・あまりにも桜花賞馬を見くびったことになる。

まずディープインパクト産駒が2400mのG1でこれまで結果を出していない点が懸念された。
それに桜花賞の内容も抜きんでたものではありませんでした。
ところがわずか1ヶ月半足らずで1頭だけ規格外の存在に変貌していた。

初めての遠征競馬でも落ち着きがありましたし、何より馬を大きく見せました。
坂を上がってきた姿を見たとき、これが同じ馬か?と目を疑うほどでした。

展開面でも恩恵を受けた点は今後も忘れてはいけないが、同世代の牝馬の中では
頭がひとつ抜けたのは間違いない。そもそもシンザン記念で男馬を蹴散らしていたほど。
順調に夏を越せばもちろん3冠の可能性は相当に高い。

2着も同じディープ産駒ヴェルシーナです。これまで産駒のG1勝利はすべてマイル戦でしたが、
この距離でワンツーを決めたことの意義は大きいですね。
道中の手応えこそ怪しかったが、残り1ハロンから伸びてきた。
桜花賞2着の地力を示したが相手が悪かった。

3着アイスフォーリス、4着アイムユアーズは結果から言えば抜け出すタイミングが早かった。
この3頭の能力差は紙一重と見ていいだろう。

アイスフォーリスは松岡君がいい位置でロスなく乗った好騎乗でした。
ただ時計がかかる馬場の方がベターなタイプでしょう。

アイムユアーズは距離を克服した点で収穫のある内容でした。
期待したハナズゴールは脚は見せたが、残り200mで止まった。
やはり距離が長かったのだろう、問題は1番人気に支持されたミッドサマーフェアだ。

フローラSの内容からすれば13着は負け過ぎ、力不足とは思えないだけに
ハードな調整がオーバーワークになったのか?
フックラと見せた点は良かったんですが、意外に寸詰りに映りました。
現時点での敗因は分かりませんが牝馬の大一番に全馬が絶好調で臨むことが難しいのは確かです。
2011年5月22日(日) 3回東京2日  11R 第72回 優駿牝馬(GI)
《レース結果》
1 4 エリンコート 牝3 55.0 後藤浩輝 2:25.7   34.5 456 -2 笹田和秀 7
2 18 ピュアブリーゼ 牝3 55.0 柴田善臣 2:25.7 クビ 35.3 436 +2 古賀慎明 8
3 12 ホエールキャプチャ 牝3 55.0 池添謙一 2:25.7 ハナ 34.0 452 -2 田中清隆 2
4 9 マルセリーナ 牝3 55.0 安藤勝己 2:26.1 2 1/2 34.3 452 0 松田博資 1
5 14 スピードリッパー 牝3 55.0 蛯名正義 2:26.2 クビ 35.2 456 0 鹿戸雄一 14

《レース回顧》
勝ち時計2分25秒7は過去10年の良馬場で行われた中でローブデコルテに続く2番目に早く
内容的にも評価できる戦いでした。

昨年に続き見応えのあるレースで逃げたピュアブリーゼが作ったペースは
前半4F 47.8 - 3F 35.3のイーブンで、戦前のスローな予想に反して流れました。

勝ったエリンコートは人気がありませんでしたが、デュランダル産駒で距離に関しては
半信半疑だったのですが、母系の方に適正がありました。

1800m、2000mで走っていた経験も、スローの上がり勝負でない競馬で勝ったことは
内容的に素晴らしい。

2着ピュアブリーゼは、うまく先手を取って負けて強しの内容
デビュー戦からずっと掲示板を外していない堅実さが生きました。

人気の2頭ですが決して凡走したのではなく、ホエールキャプチャはスタートで出遅れたのが
痛かったのは確かですが
最後は脚色が同じだった事からも本質的には2400mは長いのかも知れません。

マルセリーナは好スタートを決めましたが、前をカットされて後方から
道中の位置取りが結果的に失敗でした。

大外を回って来たときはブエナビスタを彷彿させましたが、
それでもホエールキャプチャに突き放されたあたり、この馬は距離2000mくらいまで。

5着以下は大きく取り上げる馬はいませんね。
2010年 5月23日(日) 3回東京2日   11R 第71回 優駿牝馬(オークス)(GI)
《レース結果》
1 17 アパパネ 牝3 55.0 蛯名正義 2:29.9   35.2 470 -10 国枝栄 1
1 18 サンテミリオン 牝3 55.0 横山典弘 2:29.9 同着 35.3 460 +6 古賀慎明 5
3 2 アグネスワルツ 牝3 55.0 柴田善臣 2:30.2 2 36.1 456 -4 宮本博 8
4 13 アニメイトバイオ 牝3 55.0 後藤浩輝 2:30.4 1 1/4 35.4 464 +14 牧光二 11
5 6 オウケンサクラ 牝3 55.0 安藤勝己 2:30.4 クビ 35.6 490 +4 音無秀孝 3

《レース内容》
スイートピーSで2着に逃げ粘ったニーマルオトメが、他馬の機先を制するようにここでも思い切ってハナを叩く。
内からはフローラSで逃げて2着のアグネスワルツが続き、この2頭が後続を引き離していく。
3コーナー過ぎにようやく前2頭と後ろとの差は詰まり始め、そして直線へ。
いち早く抜け出したアグネスワルツを目がけて、
後続各馬が懸命の追い比べを繰り広げる、という展開となった。

稍重の馬場のせいか、思うように前との差を詰められない馬が多い。
そんな中、大外から力強い末脚を繰り出したのが
トライアル・フローラSの勝ち馬サンテミリオンと桜花賞馬アパパネだ。
中団馬群の外でレースを進めた2頭は、並ぶようにして伸び、残り200mのあたりでアグネスワルツを抜き去る。
そこから先もたがいに譲らず、アパパネと蛯名正義騎手、サンテミリオンと横山典弘騎手、
いずれも死力を尽くして叩き合う。いったんはアパパネが前に出たように見えたものの、
最後は内からサンテミリオンも差し返すしぶとさを見せて、鼻面を合わせてゴールへと飛び込んだ。

長い長い写真判定が続く。アパパネの勝利なら牝馬クラシック二冠達成、
阪神ジュベナイルフィリーズと合わせてGI・JpnI 3勝目となる。
サンテミリオンが1着なら、桜花賞組を逆転してのGI 初制覇、
鞍上・横山騎手はヴィクトリアマイルに続く2週連続のGI 勝利となる。

緊迫の時間が流れた後、電光掲示板に灯ったのは「同着」の文字。
JRAのGI では史上初となる1着同着という結末を迎えたのである。

讃えあうように、この勝負を戦い切った達成感とともに、あるいは負けなかった安堵もこめて、
満面の笑みで抱き合う蛯名騎手と横山騎手。
歴史的瞬間を目の当たりにしたファンもまた、大きな喜びを感じたはずだ。

2頭のオークス馬を同時に生み出した2分29秒9の戦いは、競馬史に永遠に刻まれることになる。。