データーチェック
毎日王冠組の好走率が高い
中団より前で競馬、3コーナーで3〜7番手くらいの馬
グレイソヴリン系やロベルト系のスタミナ指向が強い
穴を開けるのは夏の重賞勝ち馬、宝塚記念で先行していた馬
オールカマー組と京都大賞典組の成績はイマイチ


2020年11月1日(日曜) 4回東京8日 第162回 天皇賞(秋)
《レース結果》
1 枠7橙 9 アーモンドアイ 牝5 56.0 C.ルメール 1:57.8
2 枠5黄 6 フィエールマン 牡5 58.0 福永 祐一 1:57.9 1/2
3 枠6緑 7 クロノジェネシス 牝4 56.0 北村 友一 1:57.9 クビ
4 枠8桃 11 ダノンプレミアム 牡5 58.0 川田 将雅 1:58.2 2
5 枠6緑 8 キセキ 牡6 58.0 武 豊 1:58.6 2 1/2

《レース内容》単勝1番人気のアーモンドアイが快勝。史上初となる芝GI8勝の金字塔を打ち立てた。
過去にどんな名馬も破れなかった壁を打ち破り、クリストフ・ルメール騎手の目には大粒の涙が浮かんでいた。
こみ上げる涙を抑えることができない。今までどんな大レースで勝っても笑顔しかなかった
ルメール騎手の目は、真っ赤になっていた。「きょうは日本競馬にとって、特別な日になりました。
競馬場に来ることができたファン。ありがとう。テレビの前でも応援してくれました。ありがとう。
アーモンドアイはよく頑張って勝つことができました。競馬場に来ることができなくても応援してくれて、」
ついに、日本の競馬史に初の芝GI8勝馬が誕生した。あのシンボリルドルフも、ディープインパクトでさえも
到達できなかった偉大な記録。そのすべてで手綱を取ったルメールは、ウイニングランでは何度も
顔を伏せながら必死に笑顔を作り、わずか947人のスタンドにむかって、右手を高々と突き上げた。
しかし、バーバラ夫人がGI8勝の願いを込めて作ってくれたマスクをして登場した勝利者インタビューでは、
込み上げる感情が抑えられなかった。「しゃべれません。プレッシャーが大きかった…」。
目からは大粒の涙がこぼれた。世界中で数々の大レースを制してきた名手でさえ、
期待の大きさに押しつぶされそうになっていたのだ。
記録を逃した前走の安田記念(2着)では決まらなかったスタートを決め、すぐ好位に。
ただ、直線では「もう少し馬の後ろにいたかったけど、無理でした」と、早めに先頭に立って
後続の目標にされてしまった。ゴール前で宝塚記念馬クロノジェネシスと、天皇賞・春の勝ち馬
フィエールマンが外から強襲し「緊張した」が、最後の力を振り絞って先頭を譲らずに
ゴールイン。これで春・秋通じて天皇賞5連勝となった名手も、「改めて本当にすごい馬です」と称賛を贈った。
この後も女王は現役を続行し、年内にもう1戦する可能性も。さらに記録を伸ばすチャンスがあるが、
ルメールの頭にはその後に訪れる“引退”の二文字もよぎる。
 「20年後もファンはアーモンドアイのGI8勝を覚えているでしょう。牝馬3冠を取りました。
ジャパンCも海外(ドバイターフ)も勝ちました。彼女に乗るときはプレッシャーがありますが、
そのプレッシャーが好きでした。彼女とのラブストーリーが終わるのはさみしい。彼女を愛しています」
最後まで目をはらしたまま、アーモンド“愛”を語るルメール。あと何度見られるかわからないが、
このラブストーリーを最後まで見届け、そして感動を味わうことを、すべての競馬ファンが願っている。
2019年10月27日(日曜) 4回東京9日第160回 天皇賞(秋)
《レース結果》
1 枠1白 2 アーモンドアイ 牝4 56.0 C.ルメール 1:56.2
2 枠5黄 9 ダノンプレミアム 牡4 58.0 川田 将雅 1:56.7 3
3 枠3赤 5 アエロリット 牝5 56.0 戸崎 圭太 1:56.7 クビ
4 枠3赤 6 ユーキャンスマイル 牡4 58.0 岩田 康誠 1:56.8 クビ
5 枠7橙 14 ワグネリアン 牡4 58.0 福永 祐一 1:56.8 クビ

《レース内容》
単勝1・6倍の支持を集めたアーモンドアイが好位から抜け出して3馬身差の完勝。
GI馬10頭がそろった頂上決戦でGI6勝目を挙げた。タイム1分56秒2(良)は
コースレコードに0秒1差に迫るもの。この後はジャパンCか香港カップ香港シャティンが有力視される。
レース史上、最も豪華なメンバーによる勝負は一瞬で決した。
アーモンドアイが桁違いの加速力で内ラチ沿いから抜け出すと、みるみる後続を引き離す。
3馬身差の2着馬が遙か後方に思えるほどの一方的な強さで、
6つ目のGIタイトルを獲得し、名実ともに日本一を証明した。
「勝って安心しました。もちろん勝つ自信はありましたが、アーモンドアイにとっては休み明けでしたから。
でも直線であいた内に入れたら、すごい反応で伸びた。馬上の僕がびっくりしたくらい」
安堵と喜びの表情を浮かべたルメール騎手。全10戦中9戦でコンビを
組んだ主戦でさえ、女王の真の強さを見たようだ。
序盤は、最大のライバル、サートゥルナーリアが外から前に入ってきて、
少しブレーキをかけるシーンがあった。それでも冷静に進め、5、6番手のインを確保。
絶好の位置でリズムを作ると、直線でぽっかりあいた1頭分のスペースを一気に突き抜けた。
ルメール騎手は昨年のレイデオロ、今春のフィエールマンに続き天皇賞3連覇。
「平成の最後、令和の最初で勝ててうれしい」と喜びつつ「でも一番大事なのは
アーモンドアイが力を出し切れたこと」。不利を受けて3着に敗れた安田記念の借りをきっちり返した。
「もう、おっかないというか、びっくりです」とは国枝調教師の言葉。これまで3冠牝馬アパパネなど
多くのGI馬を育ててきた名伯楽も、この日の走りに驚きを隠さない。
「アーモンドアイはいつもわれわれが思っている上をいく。
そして、まだ上があると思わせてくれる」と笑みをたたえた。
レース後はいつものように、ふらつくようなところがあり口取りは取りやめたアーモンドアイだが、
陣営が大事をとって判断したもの。次走は昨年勝ったジャパンCか、登録のある香港カップになるもようだ。
「GI馬10頭がいる中でワンサイド勝ち。(凱旋門賞2連覇の)
エネイブルとは戦っていないけど、世界のトップレベルにいる馬だと思う」
ルメール騎手が確信に満ちた表情で言った。府中に駆けつけた10万を超える
大観衆に圧倒的な強さを焼き付けたアーモンドアイ。この先も最強を証明しつづけていく。 
2018年10月28日(日曜) 4回東京9日11R 第158回 天皇賞(秋)
《レース結果》
1 枠4青 4 レイデオロ 牡4 58.0 C.ルメール 1:56.8 33.6 482 -2 藤沢和雄 2
2 枠6緑 9 サングレーザー 牡4 58.0 J.モレイラ 1:57.0 1 1/4 33.4 476 -12 浅見秀一 4
3 枠7橙 10 キセキ 牡4 58.0 川田将雅 1:57.0 ハナ 34.7 496 -8 中竹和也 6
4 枠5黄 7 アルアイン 牡4 58.0 北村友一 1:57.2 1 34.5 512 -6 池江泰寿 5
5 枠7橙 11 ミッキーロケット 牡5 58.0 和田竜二 1:57.2 ハナ 34.0 474 -2 音無秀孝 8

《レース内容》
C.ルメール騎手騎乗の2番人気・レイデオロ(牡4、美浦・藤沢和厩舎)が優勝。
勝ちタイムは1:56.8(良)。2着には1馬身1/4差で4番人気・サングレーザー(牡4、栗東・浅見厩舎)、
3着にはハナ差で6番人気・キセキ(牡4、栗東・中竹厩舎)が続いて入線した。
1番人気に支持されたスワーヴリチャード(牡4、栗東・庄野厩舎)は10着に敗れた。
ダンビュライトは放馬の影響で取り消しとなった。
1番人気スワーヴリチャードは出遅れ。注目の逃げ馬は、外から行く気を見せたキセキ。
これにヴィブロス、アルアイン、ステファノスが先行集団。少し離れてミッキーロケット、
間隔をあけてレイデオロ、もうひと間隔あけてサングレーザーが続く。
後方集団にはブラックムーン、サクラアンプルール、スワーヴリチャード、
マカヒキ、最後方にアクションスターという隊列。
前半1000mが59.4秒と締まった展開で、逃げるキセキが勢い良く直線へ。
他の先行馬は付いていけず、中団から外に持ち出したレイデオロやサングレーザーが伸びてくる。
キセキもしぶとく粘るが、ゴール寸前で2頭に交わされ、レイデオロが先頭でゴールイン。
サングレーザーもレイデオロとの差は詰められなかった。
勝ったレイデオロは17年ダービー馬。半弟は18年セントライト記念(G2)で2着のレイエンダ。
近親には12年帝王賞(Jpn1)など重賞4勝のゴルトブリッツなど活躍馬多数。
18年は明け初戦の京都記念(G2)で2着、ドバイシーマクラシック(G1)で4着と勝ち切れずにいたが、
前走のオールカマー(G2)で約1年ぶりの勝利を挙げると、今回の天皇賞(秋)(G1)で連勝を決めた。
2017年10月29日(日) 4回東京9日11R 第156回 天皇賞(秋)(GI)
《レース結果》
4 7 キタサンブラック 牡5 58.0 武豊 2:08.3   38.5 542 0 清水久詞 1
2 1 2 サトノクラウン 牡5 58.0 M.デムーロ 2:08.3 クビ 38.6 498 +10 堀宣行 2
3 4 8 レインボーライン 牡4 58.0 岩田康誠 2:08.7 2 1/2 38.7 452 +8 浅見秀一 13
4 2 4 リアルスティール 牡5 58.0 V.シュミノー 2:09.5 5 39.5 508 +2 矢作芳人 3
5 7 15 マカヒキ 牡4 58.0 内田博幸 2:09.5 アタマ 38.6 504 +2 友道康夫 9

《レース内容》
武豊騎手騎乗の1番人気・キタサンブラック(牡5、栗東・清水久厩舎)が優勝。
勝ちタイムは2:08.3(不良)。
2着にはクビ差で2番人気・サトノクラウン(牡5、美浦・堀厩舎)、
3着には2馬身半差で13番人気・レインボーライン(牡4、栗東・浅見厩舎)が続いて入線した。
何と言ってもキタサンブラックがまさかの出遅れスタート。
ハナを切ったのはロードヴァンドール、2番手にサクラアンプルール、
リアルスティールもこれに続いた。そして、ネオリアリズム、ミッキーロケット、外からシャケトラ、
この辺りが先行ポジション。その後ろにサトノクラウン、ヤマカツエース、ソウルスターリングが
横に並び、大きな集団の後方にグレーターロンドン、キタサンブラック、レインボーライン、
ステファノス、カデナ、ワンアンドオンリーが追走。
そこから離れてディサイファ、マカヒキ、サトノアラジンが最後方。
この日は馬場の内外の選択もカギになっていて、キタサンブラックは3コーナーから
内目をスルスルと進出して直線を向いた時には先頭に立っていた。
そこからジワジワと外に持ち出して、追い比べの相手として抜け出してきたのはサトノクラウン。
いったんは突き放したが、最後は詰め寄られながらも押し切った。
3着には内目からスムーズに進路が開いたレインボーラインが追い込んだ。
勝ったキタサンブラックは、これでG1・6勝目。天皇賞の春秋制覇は史上5頭目
(タマモクロス、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、メイショウサムソンに次ぐ)。
既に天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念の年内秋3戦での引退を発表している。
2016年10月30日(日) 4回東京9日 11R 第154回 天皇賞(秋)(GI)
《レース結果》
1 5 8 モーリス 牡5 58.0 R.ムーア 1:59.3   33.8 514 +4 堀宣行 1
2 7 12 リアルスティール 牡4 58.0 M.デムーロ 1:59.5 1 1/2 33.5 502 +4 矢作芳人 7
3 8 14 ステファノス 牡5 58.0 川田将雅 1:59.7 1 1/4 33.5 486 0 藤原英昭 6
4 2 3 アンビシャス 牡4 58.0 横山典弘 1:59.9 1 34.0 466 -8 音無秀孝 4
5 3 5 ロゴタイプ 牡6 58.0 田辺裕信 1:59.9 アタマ 34.5 496 -6 田中剛 9

《レース内容》
R.ムーア騎手騎乗の1番人気・モーリス(牡5、美浦・堀厩舎)が優勝。
勝ちタイムは1:59.3(良)。2着には1馬身半差で7番人気・リアルスティール(牡4、栗東・矢作厩舎)、
3着には1馬身1/4差で6番人気・ステファノス(牡5、栗東・藤原英厩舎)が続いて入線した。
アンビシャスが伸び上がるように出遅れ、後方からの競馬に。
エイシンヒカリがハナを奪うが、後続をピッタリ引き付けての逃げ。ラブリーデイが2番手につけ、
好位にサトノクラウン、モーリスも好位集団でしっかりと折り合う。
リアルスティールはその直後でM.デムーロ騎手が懸命になだめる。
ルージュバックはちょうど中団で、ステファノス、出遅れたアンビシャスは後方からのレースとなる。
1000m通過が60秒8とG1にしては緩い流れのまま、エイシンヒカリが先頭で直線へ。
並んでくるラブリーデイの脚色が良い。400mを切って、外から早くもモーリスが先頭に立つ。
内でエイシンヒカリは後退、アンビシャスは最内を突く。
大外を通って伸びてくるのはリアルスティールとステファノスが追い込むものの、
先に抜け出したモーリスの勢いには及ばず、
最後は1馬身半差を付けてモーリスが先頭でゴールを駆け抜けた。
勝ったモーリスは昨年4月のダービー卿CTで重賞初制覇を挙げると、
安田記念でG1初挑戦初制覇。秋、ぶっつけで挑んだマイルCSも完勝し、
国内マイル路線を制圧すると、初めての海外G1となった香港マイルも制覇。
今年5月のチャンピオンズマイルも楽勝し、アジアトップマイラーの座についた。
帰国後の安田記念、札幌記念は2着と敗れていたが、
R.ムーア騎手の手綱で見事に復活のG1勝利、5つ目のビッグタイトルを手に入れた。
2015年11月1日(日) 4回東京9日11R 第152回 天皇賞(秋)(GI)
《レース結果》
1 4 8 ラブリーデイ 牡5 58.0 浜中俊 1:58.4   33.7 486 -4 池江泰寿 1
2 7 14 ステファノス 牡4 58.0 戸崎圭太 1:58.5 1/2 33.4 474 -2 藤原英昭 10
3 8 16 イスラボニータ 牡4 58.0 蛯名正義 1:58.6 3/4 33.6 476 -4 栗田博憲 6
4 7 15 ショウナンパンドラ 牝4 56.0 池添謙一 1:58.6 ハナ 33.4 438 -2 高野友和 5
5 1 2 アンビシャス 牡3 56.0 M.デムーロ 1:58.6 クビ 33.7 458 +2 音無秀孝 4

《レース内容》
混戦ムードだったが、結局は1番人気ラブリーデイの完勝だった。でも、展開はまったくの予想外で…。
まさかクラレントが逃げるとは。展開を予想するのは難しいんですが、
このレースばかりはエイシンヒカリが逃げていいペースで引っ張ってくれると思っていたんですが…。
メンバーを見渡しても速い馬がいるわけじゃないし、たとえ途中からハナに立っても
マイペースに持ち込めたと思うんですけど。クラレントの田辺は最初から行くつもりだったようだ。
おかげで1000メートル通過は60秒6。予想していた流れより全然遅いペースになってしまった。
エイシンは大一番でレーススタイルを変えざるを得なくなりました。
デビュー戦を除けば、勝ち星はすべて逃げ切りですから、これは痛いです。
同様にエイシンの逃げを想定していたライバル勢も、ペースが狂って混乱してしまいました。
エイシンが逃げなかったことで、結果的にレースが少々盛り上がりに欠けたのは否めない。
ただ、これも競馬だから仕方がない。逆に勝ったラブリーデイはこの流れにうまく乗ったのが最大の勝因だろう。
すぐに4番手をキープしましたから。このスローですから、少々かかるシーンもありましたが、
あの時点で勝負ありでした。直線で坂を上がってくる時は、鞍上が左右を確認するくらい余裕があった。
代打騎乗だった浜中もノーミス。見事なレース運びだった。
これまで対戦してその強さを知っていたとはいえ、きっちり責任を果たしました。
これで続くジャパンCでも堂々の主役でしょうし、年度代表馬の有力候補でもあります。
今年に入って重賞6勝でうちGTが2勝。古馬戦線でこれだけ勝ち続けるのは珍しい。
まさにサクセスストーリーを絵に描いたようだ。とにかくレースがうまいし、崩れがない。
この路線全体のレベルが低いという面もあるのかもしれないが、この馬は本当に強くなっている。
2着には人気薄のステファノスが食い込みました。休み明けの毎日王冠の敗戦で
評価を落としていましたが、実績は十分。これは能力通りの結果でしょう。
イスラボニータは今年も3着。本命に期待したが、3歳秋以降はどうもワンパンチ足りない。
ステファノスもそうですが、この2頭はもう少し内枠なら際どかったんじゃないかと思います。
スローで外を回らされたのではきつかったと思います。
際どい4着には牝馬のショウナンパンドラが追い込んできた。エリザベス女王杯を捨てて、
ここへ挑戦してきただけのことはある。最後の脚は目立っていたし、もう少しもつれるような展開になっていれば。
対照的にディサイファは1番枠を生かし切れませんでした。スタートは良かったんですが、
途中から下がってしまいました。アンビシャスも早めに外に出した分、
内枠の恩恵を受けられなかった気がします。昨年の勝ち馬スピルバーグは10着に大敗。
インを突いて追い上げてきたが、状態面が戻り切っていなかったのか、本来の伸び脚が見られなかった。
エイシンのペースなら、どの馬も力を発揮しやすいと思って予想を組み立てましたが、
終わってみれば消化不良の馬も多かった。改めて競馬は難しいです。
2014年11月2日(日) 4回東京9日11R 第150回 天皇賞(秋)(GI)
《レース結果》
1 2 4 スピルバーグ 牡5 58.0 北村宏司 1:59.7   33.7 506 -2 藤沢和雄 5
2 1 1 ジェンティルドンナ 牝5 56.0 戸崎圭太 1:59.8 3/4 34.4 470 +2 石坂正 2
3 7 15 イスラボニータ 牡3 56.0 C.ルメール 1:59.8 アタマ 34.4 474 0 栗田博憲 1
4 6 11 ラブイズブーシェ 牡5 58.0 古川吉洋 1:59.9 1/2 34.3 452 -2 村山明 16
5 1 2 ヒットザターゲット 牡6 58.0 武豊 1:59.9 ハナ 33.8 512 -2 加藤敬二 10

《レース内容》スピルバーグが重賞初制覇を見事GTで決めた。
パドックでも大人びたオーラを発していたように素質馬がようやく本物になった。
現5歳世代はここ出走のジェンティルドンナ、フェノーメノに加えてゴールドシップ、
ジャスタウェイもいる粒揃いの世代です。この馬もトーセンラーの全弟という血筋が開花し、
トップグループに加わったと見ていいでしょう。勝敗を分けたカギが北村宏の手綱さばきだった。
脚を余す馬が多いなか、3角で外に持ち出したのは好プレー。馬群にモマれていては直線一気はなかっただろう。
ここ2〜3年の北村クンの成長は目を見張るものがあります。藤沢和厩舎は外国人騎手を起用することも多いんですが、
すっかり主戦に足る存在になりました。馬の方も成長を急がせることのない厩舎の方針と合致し、
5歳秋に本格化しましたね。問題は1分59秒7のタイムをどう見るか、 例年なら1分57秒前後の攻防だから
相当に遅い。ただし5ハロン通過が60秒7の超スローなのに、上がり3ハロンが34秒6止まりとなると…。
良発表でも前日までの雨の影響が残っていたと見るべきだろう。
勝負がラスト3ハロンに集約された決め手比べでディープインパクト産駒らしい瞬発力が生きたといえます。
東京巧者だけに何もなければ次はジャパンCとなるだろうが…。
引き揚げてくる姿は相当に疲れているように映った。秋初戦を2着と上々のスタートを切った
ジェンティルドンナが現時点では最有力だろう。JC連覇の実績が示すように距離延長は望むところだ。
難しいのが3着止まりだったイスラボニータの評価。2000メートルでも伸び切れなかったのだから
菊花賞パスは正解だったが…。同世代相手ならともかく、古馬と戦っていくには2000メートルが上限でしょう。
ただ絶好の手応えの割に、はじけなかった点はやはり気になりますね。
同世代相手なら正攻法でも構わなかったが、古馬相手となるとそうもいかない。
思い切って後方で脚をためた方がスパッと切れる脚が使えるのかもしれないな。
個人的には気配も少し気になりました。春当時に比べて、しなやかさに欠けるというか、
イキの良さを感じませんでした。気になったといえばエピファネイア6着も
パドックから発汗が目立ったようにテンションが高かったですね。
返し馬でもずいぶんと行きたがっていた。叩かれた次走でどこまで変わってくるかだろう。
フェノーメノ14着の最終追い切りに下した厳しいジャッジ好調時のデキ一息は正解と胸を張れるものだった。
具体的にどこか悪い点はなくても、調教だけで絶好調に持っていくのはやはり難しいのでしょう。
天皇賞・春連覇はいずれも日経賞を叩き台にしています。
もったいないレースだったのが7着デニムアンドルビー。
窮屈な位置取りで脚を余してしまった。スムーズなら3着はあったか。
脚を使ったのはラスト50メートルといったところ。スピルバーグが3着止まりだった毎日王冠も
そんな感じのレースでした。エリザベス女王杯に登録していますが、
昨年2着のJCに駒を進めてくるようなら要注意ですね。
2013年10月27日(日) 4回東京9日11R 第148回 天皇賞(秋)(GI)
《レース結果》
1 7 ジャスタウェイ 牡4 58.0 福永祐一 1:57.5   34.6 496 -2 須貝尚介 5
2 9 ジェンティルドンナ 牝4 56.0 岩田康誠 1:58.2 4 35.8 470 0 石坂正 1
3 6 エイシンフラッシュ 牡6 58.0 M.デムーロ 1:58.5 2 35.5 488 +4 藤原英昭 3
4 13 マル外アンコイルド 牡4 58.0 吉田隼人 1:58.6 クビ 36.0 478 -6 矢作芳人 8
5  1 コディーノ 牡3 56.0 U.リスポリ 1:58.8 1 1/4 36.1 482 -8 藤沢和雄 4

《レース内容》
昔から1800mより2000mに近いのはマイル戦と言います。
ダイワメジャー、ダイワスカーレット兄弟のようにマイルG1を制した
卓越したスピードで2000mを克服する馬もいる。
ジャスタウェイ、確かに振り返ればギャロップダイナもそんなタイプ。
それにしても衝撃的な勝ちっぷり・・・恐れ入った。
2着ジェンティルドンナに付けた差は4馬身、これは秋の天皇賞が2000mになってから
87年ニッポーテイオーの5馬身差に次ぐ記録だ。スムーズな追走からドンピシャの
タイミングで追い出した福永の好プレーもあるが、抜け出す時の速さは
これまでのこの馬にはなかったもの。上がり35秒を切ったのはこの馬だけだから文句が付けられない。
先週の菊花賞も制した福永くんの勢い、ゴールシップらを擁する須貝厩舎の総合力
2着続きもいろいろな競馬を経験して力を付けてきた馬の成長などいろいろな要素が
かみ合った勝利と言えるでしょう。他の有力馬を前に見ながらのレース運びは
ハマった側面もありますが、少し雨の影響が残る馬場で1分57秒5マークは立派です。
ジャスタウェイは手放しで誉めるしかないが、2着ジェンティルドンナは結果的には
前を追いかけ過ぎたことが最大の敗因、5ハロン通過58秒4の流れを
番手追走ではラストで脚が上がっても仕方がない。ただ3着エイシンフラッシュには
2馬身差先着だからこの馬の評価は下がらない。
休み明けは本質的に走らないタイプ、昨秋初戦のローズSこそ勝ってますが、
内容はひと息でした。いわゆる普通のかわいい牝馬ではないのでビッシリ仕上げても
久々だと90点のデキにしかならない。だからこそ叩き2戦目以降のG1を連勝できるんです。
次は当然、期待してもいいでしょう。エイシンフラッシュは3着まで。
坂上あたりでブレーキをかけるシーンもあったが、ジェンティルドンナとの2馬身差を
逆転できる脚色じゃなかった。分かってはいるけどやはり注文がつくタイプだ。
昔のジャパンCでよく見かけたヨーロッパからの遠征馬が負けるパターンと一緒。
11秒台が続くラップに乗ってしまうと脚をなくしてしまいます。向正面から動いていった時点で
今回はダメだと観念した。この相手でも健闘できたアンコイルド、復調気配を見せたコディーノ
までは立ち直ってきましたね。逆に6着以下は少し差があると見たい。
コディーノは1600〜2000mならばこれからも楽しみな存在です。2番人気に支持された
トウケイヘイローですが、厳しい流れをピタリとマークされては失速も仕方ありません。
台風の影響が残ると見た場合は展開的に怖い存在だった。ただ、小回りコースでは
勝ち切れても大箱のG1ではまだ力不足、今回の流れでも3馬身圏内くらいに
粘れるようになれば本物だろう。
2012年10月28日(日) 4回東京9日11R 第146回 天皇賞(秋)(GI)
《レース結果》
1 12 エイシンフラッシュ 牡5 58.0 M.デムーロ 1:57.3   33.1 486 -8 藤原英昭 5
2 4 フェノーメノ 牡3 56.0 蛯名正義 1:57.4 1/2 33.8 496 -2 戸田博文 1
3 6 ルーラーシップ 牡5 58.0 I.メンディザバル 1:57.6 1 1/4 33.1 514 +18 角居勝彦 2
4 13 ダークシャドウ 牡5 58.0 福永祐一 1:57.7 3/4 33.6 516 +8 堀宣行 4
5 16 カレンブラックヒル 牡3 56.0 秋山真一郎 1:57.7 アタマ 34.5 466 -2 平田修 3

《レース内容》
エイシンフラッシュのイン強襲がものの見事にハマった。
この馬は昨年の有馬記念もそうでしたが、いたずらに脚を使ってはダメ、
自ら勝ちに行くような競馬では持ち味が生きないタイプだと思います。
それを考えてうまく能力を引き出したデムーロは流石というしかない。
今回も気配は目立っていました。
ダービー馬ですからみんな力があるのは分かっているんですけど、
一変ぶりには驚きました、このパターンしかないという形できちんと結果を出したデムーロは偉い。
インががら空だったとはいえ、残り1ハロンで出し抜けを食らわせた。
まさか、フェノーメノの蛯名も最内から相手が来るとは思ってなかっただろう。
結果的に抜け出した時の1馬身差がモノを言いました。
そのフェノーメノも立派です、3歳馬が1番人気を背負って正攻法の2着・・・
数字的にも文句なしの内容です。いったんは勝ち馬に1馬身ほど離されたが、
最後は半馬身まで詰めている。菊花賞を使わずにここへぶつけてきたのも納得。
まさに負けて強しだろう。同じ3歳のカレンブラックヒルも5着に頑張りました。
逃げたシルポートの1000m通過は57秒3.離れた2番手のカレンだと59秒前後、
となると、カレンブラックヒル自身は決してバテたわけじゃない。
バランスの取れたラップを踏んで十分に力を出しています。
4コーナーを回ってダイワファルコンがすぐに並びかけてきたきつい展開、
それで0秒4差なら踏ん張っている、結局、3歳馬は6着ジャスタウェイも含めて
すべてひと桁着順でした。やっぱりレベルの高い世代という評価は正しいです。
一方、古馬勢ではエイシンの他にルーラーシップが3着と気を吐いた。
多少、馬体は太い気もしたが、直線の伸び脚は際立っていた。
次ぎはジャパンcだろうが、グンと良くなりそうだ。
当日は+18キロ、その分、前半はモタついたようですが、
あのまま後方で我慢させたのは好判断だったと思います。
メンディザバル騎手は先行策を取るケースが目立ちますが、今回はデムーロ同様に
ナイスプレーでした。ダークシャドウは思ったほど切れなかった。
昨年ほどの勢いがないかもしれない、勝ち馬と同じような位置にいたのですから、
体調がベストじゃなかったのでしょう。ナカヤマナイトはG1ではまだ力不足
右回りと比較すると左回りはひと息かな。
レース自体は締まった流れで見応え十分、天覧競馬にふさわしい天皇賞になりました。


2011年10月30日(日) 4回東京9日  11R 第144回 天皇賞(秋)(GI)
《レース結果》
1 12 トーセンジョーダン 牡5 58.0 N.ピンナ 1:56.1 レコード 34.2 478 -8 池江泰寿 7
2 7 ダークシャドウ 牡4 58.0 F.ベリー 1:56.2 1/2 34.7 508 +2 堀宣行 2
3 8 ペルーサ 牡4 58.0 横山典弘 1:56.3 1/2 33.9 520 +14 藤沢和雄 6
4 5 ブエナビスタ 牝5 56.0 岩田康誠 1:56.4 3/4 34.7 462 -10 松田博資 1
5 17 トゥザグローリー 牡4 58.0 福永祐一 1:56.7 1 3/4 35.0 528 +2 池江泰寿 10

《レース回顧》
伏兵のトーセンジョーダンがレコードで天皇賞盾をさらった。
それにしてもこんな時計が出るとは・・・・

ウオッカの1.57.2秒を1.1秒更新する日本レコードですから
午前中から芝のレースは時計が早いと感じていましたが
1.56.1秒は予想以上でした。展開が向いたかもしれないが
これだけの数字を出されるとフロックとは言えない。
まして、このメンバーですから。

逃げたシルポートの5ハロン通過が56.5秒、トーセンは58秒くらいでほぼイーブン
それより前のポジションではやっぱり苦しい
結果的に位置取りが良かったことと、最後まで馬をもたせたピンナ騎手の
腕っ節の強さが光りました。

厩舎の勢いもあって、3冠達成したオルフーェヴルに続き池江厩舎が大仕事をやってのけた。
2歳時にクラシック候補を呼ばれた素質がようやく開花した。
ここに来ての成長はすごい、札幌記念から一段とパワーアップしていました。

2着ダークシャドウも成長著しい、直線で進路を先にトーセンに取られた分
馬群をさばくのに手間取ったが、ゴール前は尻尾を振りながら追い詰めてきた。
内容的には勝ちに等しいと思う。

ペルーサは好スタートを切りながら、後方でじっくり待機
大外から追い込んできたときは、ハマったと思いましたが結果は3着
やっぱり距離の2000mもこの馬には合っています。
昨年はジャパンC、有馬記念でも好走していますが、
本当にいい脚を使うのは2000mです。

ブエナビスタは今回の内容ならまだまだやれる。
4着でしたが、直線で先行馬の後ろに入ってしまったように
イン狙いが裏目に出ただけ、それにBコースになった今週はあの辺りは伸びない馬場でした。

エイシンフラッシュは積極的に先行しましたが今日のペースでは厳しかった。
同じような位置にいたローズキングダムが見せ場も作れず
底力の不足を露呈してしまいました。

2010年 10月31日(日) 4回東京8日   11R 第142回 天皇賞(秋)(GI)
《レース結果》
1 2 ブエナビスタ 牝4 56.0 C.スミヨン 1:58.2   34.1 456 -4 松田博資 1
2 7 ペルーサ 牡3 56.0 安藤勝己 1:58.5 2 33.6 502 -4 藤沢和雄 4
3 12 アーネストリー 牡5 58.0 佐藤哲三 1:58.7 1 1/2 34.8 530 0 佐々木晶三 2
4 5 オウケンサクラ 牝3 54.0 北村宏司 1:58.9 1 1/4 35.2 492 -12 音無秀孝 17
5 14 ネヴァブション 牡7 58.0 後藤浩輝 1:58.9 クビ 34.7 492 +6 伊藤正徳 11

《レース内容》

稍重の馬場、シルポートの逃げを人気各馬はそれぞれのポジションで追走する。
金鯱賞1着、宝塚記念3着、札幌記念1着と本格化を遂げて
2番人気に推されたアーネストリーは好位5番手。
これを外から見る位置には、毎日王冠を制した6番人気のアリゼオ。
東京で6勝のコース適性を誇り、前走オールカマーで復活勝利を果たした3番人気シンゲンと、
天皇賞春秋連覇を狙う5番人気ジャガーメイルは並んで中団だ。
スタートで後手を踏んだ4番人気ペルーサもすぐさま追いついてきた。

そんな中、1番人気のブエナビスタは中団馬群、
鞍上のC.スミヨン騎手にガッチリと手綱を引かれている。

馬は仕上がっていたし、いいスタートを切れて、いい位置も取れた」

ジョッキーの自信と感触を裏づけるように、ブエナビスタは直線で末脚を爆発させて、
いずれ劣らぬ素質を持つ牡馬たちを蹴散らしてみせる。

先行馬群に間隙が生まれた瞬間、一気に抜け出し、
坂上では早くも先頭へ。そこからは完全に独走となり、スミヨン騎手はターフビジョンを横目で確認、
さらには一度二度と後方を振り返るほどの余裕でゴールへと向かう。
結局、懸命に粘るアーネストリーをペルーサが怒涛の末脚で差し切る、
その2着争いに2馬身差をつけての勝利となった。

ブエナビスタが獲得したGI・JpnI タイトルは5つ目。
これまではすべて牝馬限定レースの勲章、牡馬を打ち負かし、
しかも決定的な差を後続につけたことで、
この馬の称号は“最強牝馬”から“現役最強馬”に昇格したといえるだろう。

次なる目標は、ジャパンカップでの世界制覇か、昨年2着に終わった有馬記念でのリベンジか。
いずれにせよ今秋の競馬は、ブエナビスタ中心に展開することは確実である。